2010/08/09
2007年12月、吐く息まで瞬時に凍てつきそうな日、西大門刑務所歴史館に初めて足を運んだ。
日本による占領下に刑務所であった場所に、季節の最も過酷なときに来たかった。
展示物や解説パネルの記述をめぐって議論したい人は、自由にやればいいとおもう。
自分は、ここで何があったのか、どんな声が叫ばれたのか。それらをただ目を瞑って想像する。
手を触れていたら何分とたたずに凍傷になりそうなレンガ、石造りの建物。
そこここにたたずむ音のない闇、窓枠のなかにのみ限られたまばゆいばかりの光。
以降、08、09と毎年真冬に訪れることになる。
アウシュビッツでも感じたことだが、誤解を恐れずにいえば、収容所ほど美しい場所はないだろう。
光、そして陰影がかくも美しい場所は。
それは、光と影、あるものはそのふたつ、たったそれだけだからだ。
それに、ここにある影、これほどまでに濃い影はどこにもない。だから、あまりにかけ離れたそのコントラストが美しすぎるのだ。
処刑所の裏、遺体搬出のためだけの出口。
刑務所からの遺体搬出口。
市場を歩き、いつもとまったく同じように腹ごしらえをした。
絶品のソルロンタンだった。
はにかみながらもてなしてくれた。
この国を好きだなと思った。
■ソウル「戦争記念館」(1)
http://blog.livedoor.jp/uskteen/archives/1209179.html
■西大門刑務所歴史館 アクセス・解説など(外部サイト)
http://www.seoulnavi.com/miru/24/
(08:30)