2013/08/24
2013年晩夏。
韓国は京畿道の高速道路を、ソヘ(西海)にむけてひた走る。
エアコンに涼しい車内から望む水ビロード色の空のもと、陽射しに射抜かれた盆地から陽炎が立ち昇る。
3500番の赤い郊外バスを降りた瞬間、蝉の声が渦潮となってしぶきを叩きつけてきた。
山本という名の駅で鉄道に乗り換える。
取り締まりにより昨今都心では見なくなった物売りが、五千ウォン、五千ウォンとこぶしをきかす。
花柄に身を包んだ初老の「少女」たちが、あんた安くしなさいよとカラカラ冷やかしをかかさない。
日帝の侵略、625(ユギオ)こと冷戦下、大国の思惑に突き動かされた内戦を、強く生き抜き、家族を食わせ守り抜いてきた、たくましさを、豪快な笑い声のなかに感じることができる。
(11:07)